2023/04/21
サブウーファーの自作
三島の巨匠kenbe氏がサブウーファーは初心者にはハードルが高いと述べられてます。これに関しては、私は数個作ってみて意外と簡単だなと感じていて、むしろ普段から全く自作をしないと言う人も、サブウーファーだけは自作をして、省スペースで高品質かつ経済的なシステムを構築できるのではないかと思っているくらいでして、その理由を少し書いてみたいと思います。
まず一般的なサブウーファーの欠点、およびサブウーファー自作のハードルをリストアップしてみたいと思います。
●サブウーファーの欠点
1、調整が難しい
→聴感に頼るとやはり失敗しがちで、よく言われる「ほとんど聴こえないレベル」を意識するとあまり効果がなく必然性を感じられなくなる。
2、高価である
→ピュア向けにまともな製品をステレオで揃えると50万は軽く超える。安価なものはアンプでホワイトノイズが入ったり、エンクロージャーの板厚が薄かったり、ドライバーの質が怪しげだったりで信頼できない。高価なものにしても1の問題を経て、無い方がピュアであると言う認識になり、手放してしまう。
3、定在波の問題
→低域は波長が長いので定在波が起こりやすく、部屋の形を変えるでもしない限り解決しないことがある。
4、群遅延の発生
→これが根本的な問題として横たわっている。群遅延とは、簡単に言うと低域にクロスオーバーを持っていくと、低ければ低いほど遅延が倍々ゲームで増えてしまうと言う現象で、低音は増えてもスピード感が失われてしまうと言うサブウーファー特有の問題。
●サブウーファー自作の難点
1、ドライバー(ユニット)が売っていない
→売っていてもカーオーディオ向けばかりでピュア用途で使うのは気が引ける。
2、厚い板が売っていない
→近所のホームセンターに売ってる板では制振に必要な板厚を得られない。
3、クロスオーバーが作れない
→チャンネルデバイダーは高価だし安価なものはプロ用で、ピュア向けでは無い。ラインレベルではなくアンプの後段に入れると大掛かりで高価になる。エンクロージャー構造によるアナログ式カットオフは細かい調整に制限があり、出たとこ勝負になる。
4、エンクロージャーの制作が難しい
→バスレフ方式はポートの計算が必須であり、下手に作ると暴れたり上手く出なかったりする可能性がある。密閉にするにしても正確に板を切り出し、完全に隙間を無く作るのは難しい。
ではこれらを一つ一つ検証したいと思います。
●サブウーファーの欠点【解決編】
1、調整が難しい
→計測マイクを買いましょう。低域は好みが入るので感覚ではやはり限界があります。計測して正確に把握して調整すれば楽勝です。よく言われる「ほとんど聞こえないレベル」にするのは完全に妥協策であり、ピークやディップを生まないためのかなり消極的なやり方でしかなく、計測をすれば積極的に上手に効果のある鳴らし方ができます。
2、高価である
→自作をすれば安いです。DSP付きのサブウーファーは既製品では50万超えも珍しくありませんが、自作なら最高級品と同じパーツを使っても20万もしません。
3、定在波の問題
→これはサブウーファーでなくても低音が出れば問題になることで、却ってサブウーファーであれば単体で対処できますので、制御しやすくなります。DSPでピークは凹ませ、ディップは埋めます。それでもダメな場合も、置き場所を変えれば解決することが多いです。自作なら形も自由自在なので置き場所の選択肢も広がります。
4、群遅延の発生
→これは難しい問題ですが、自作でコンパクトなサイズにして、リスニングポジションから近い位置に置くなど、やり方は色々あります。後述します。
●サブウーファー自作の難点【解決編】
1、ドライバー(ユニット)が売っていない
→クレジットカードをお持ちなら海外のサイトで買う事です。パーツエクスプレスがおすすめです。高級品をお求めならsolenやMadisoundなどがあります。カーオーディオ用では無いピュア専用と言うのは元々サブウーファードライバーではほとんどありませんので気にしなくて良いかと思います。「見た目がカー向け」と言った物は多いのでそれを選ばなければ問題ないでしょう。クレジットカードがない場合はカーオーディオのお店で見た目が地味なドライバーを探すしかないかも…
ドライバーの選び方については、細かくパラメータを精査する必要はなく、密閉向きかバスレフ向きかが分かれば、あとはサイズと耐圧、予算だけ自分の環境に合わせればほぼ問題ないです。こちらでドライバーの密閉/バスレフ判別計算ができます。
2、厚い板が売ってない
→板を二重三重で貼り合わせれば問題ないです。個人的な意見ですけど中にボンドの層が出来るため却って制振には有利になっている感じがします。
3、クロスオーバーが作れない
→ここが自作サブウーファーのキモになりますが、DSP付きプレートアンプを使いましょう。オススメはB&WやMAGICOでも採用されているhypexの物。hypexの直販サイトで購入できます。上記したパーツエクスプレスではDayton audioの求めやすい価格の物があったり、miniDSP社のアイスパワー搭載品などもあります。こちらも直販サイトがあります。
4、エンクロージャーの制作が難しい
→バスレフは、自作サブウーファーが盛んなアメリカの計算サイトもあったりしますが、やはり遅延なども発生するのでこだわりがなければ密閉で作るのが良いでしょう。板の正確な切り出しはパネルソーのあるホームセンターにやってもらえば完全解決です。うちの近くのホムセンのように、めんどくさい客が増えないために数センチズラしてカットするお店でも、箱の作り方とカットしてもらう手順を工夫すれば数センチの誤差があっても隙間なく組めます。パネルソーの台に木粉が積もっていて板が垂直にセットされてないパターンだけには気をつけましょう。
大事な点は3つです。
★DSP付きプレートアンプ
★海外通販
★計測
遅延の問題はかなり難しく、これは人間の耳は低域の遅れを知覚しにくいと言う点を好意的に受け止め、気にしないと言うのが、消極的ながら手近なやり方です。私はサブウーファー以外も全段DSPでタイムアライメントを制御して解決しておりますが、ピュアオーディオ的かと訊かれると「そうでないと考える人は多い」と言う答えになってしまいます。ただしアキュフェーズの高級チャンデバでも方法は同じなので、その考えも根拠は不明と言えます。
群遅延はクロスオーバーのカットオフを急峻にするほど激しく発生するので、サブウーファードライバーから鳴る成分を薄くしたいがためにバッサリと切ると、遅れにより音がぼやけるばかりか位相も合わなくなりピークやディップになったりします。この辺りは調整もかなりシビアになるので、聴感だけでは全く感覚が掴めなく、暗中模索することになります。計測マイクがあっても最初は難しいでしょう。
あとは上記しましたリスポジ近くにサブウーファーを置くと言うやり方。よくホームシアターのセッティングではサブウーファーをスピーカーの外側に置いておりますが、これは単純に見た目の収まりの良さが優先されているので、ホームシアターのように重低音の重さが求められていない音楽での使用では、リスポジから近い方が好ましい結果が出ます。ただ、群遅延による遅延の大きさは、置き場所を1m、2m変えたくらいでは五十歩百歩なレベルになっている場合がままあるので、聴感で変化はあまり感じられないかもしれません。近くに置く事で定在波が発生する場合には遠くに置いた方がマシです。
以上が、サブウーファーの自作に関して、ハードルは高くないとする根拠になりますが、そもそも計測マイクがハードル高いわ、とか言われるともう返す言葉もございませんw まあでも、DaytonのOMNIMICとかUSBでパソコンに繋ぐだけなのでかなり簡単かと思います。
不明な点、異論等ありましたらコメントお願いします。
インターフェースをもうちょい改造。

置き時計を寝る部屋に持って行ったので、オーディオ部屋に時計がなく、PC上に大きく時計を表示してますが、前のフリーソフトのアナログ風時計はなんか異物感があったのでfoobarアプリ内に時計を収めました。