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クラシック音楽のレズビアニズム

コミュニケーションと言うものの方法・様式が数十年前と様変わりした昨今、エロスもまた、やるものから見るものへと変わりつつあるのを何かと感じる今日この頃、皆さんいかがお過ごしですか。

さて、今回はテコ入れ企画でエロスを導入してみたいと思います。
先に述べた通り、見るものになったエロスは、端的にBLやら百合と言った文化を醸成しつつあります。
ホモセクシャルは残念ながら(?)守備範囲外なんで、今回はレズビアニズムを紹介したいと思います。

レズビアン(バイセクシャル)の作曲家リストです。例のごとく私の調べた範囲内なのであしからず。
(■にサンプル曲をリンクしておきました)

エセル・スマイス(1858~1944)
ロマン派後期の音楽。オペラも作曲していて本格派です。
アデーラ・マディソン(1862~1929)
既婚者。この人も後期ロマン派の作曲家。録音されて聴けるものはピアノ五重奏曲くらいなのですがわりと佳曲です。
ルース・アンダーソン(1928~)
電子音楽。聴ける作品が少なかったのですが、ノイズミュージックが主かと。
ポーリン・オリヴェロス(1932~)
アメリカの電子音楽界でかなり貢献した人。ノイズミュージックっぽいです。
アニア・ロックウッド(1939~)
大自然の音を録音して編集したミュージック・コンクレート作品がメイン。
メレディス・モンク(1942~)
アヴァンギャルドな声楽曲で有名な人。オノ・ヨーコの音楽作品に似てます。
ポーラ・M・キムパー(1956~)
試聴のみで買う勇気が出なかった。フォークオペラを何曲か作っているようで、ヒーリングミュージックっぽいのもあるようです。
イヴ・ベグラリアン(1958~)
ミニマル・ミュージックっぽい曲が多く、センスもいい。
ジェニファー・ヒグドン(1962~)
ネオロマンで聴きやすい曲も多いです。ピューリッツァー賞やグラミー賞を取ってる実力派。オススメ。
レズリー・バーバー(1968~)
映画音楽がメイン。ミニマルっぽいのがあったりフュージョンっぽいのがあったり。一番聴きやすいけど若干安っぽいサウンド。

この他にも、アメリカンレズビアンコンポーザーズというCDの中で何人かレズビアンの作曲家が確認できますが、本業がパフォーマンスアートだったり、寡作だったりで作曲家としての活動をつかむことは困難でした。

そして、レズビアンの語源であるレスボスのサッポーに関する音楽も紹介します。
こちらにCDリストがあります。
しかしながら、このリストの大半は詩人としてのサッポーを描いたものであるようです。
詳しくは個々の作品の解説を読まなくてはいけないのですが残念ながらほとんどマイナー楽曲で、レアディスク化しているものが多く、英語のウィキペディアなどで判別するしかありませんでした。


まあ、ここまでは文献として読んでいただければ。
ここからが本番です。
耽美なレズビアニズムを感じるクラシック音楽個人的ベスト3

3位:R.シュトラウス「薔薇の騎士」

一見なんでもない若い男女と年増おばはんとの三角関係を描いてるだけに見えますが、実は歌ってるのは三人ともソプラノです。お耽美ですなあ。

2位:モーツァルト「すみれ」Das Veilchen

短い歌曲ですがストーリーがあります。スミレの花が歩いてくる少女の姿を見つけて彼女に摘まれたいと望むものの、その少女に踏み付けられてしまう。でも、スミレは幸せだった、というもの。
"バイセクシャル女性やレズビアンはスミレを同性愛的な感情の相手に渡していたとされる。古代ギリシャの女性詩人サッポーは詩の中で、自身と恋人がスミレの花輪を被る描写を残している。"wikipedia「LGBTQのシンボル」より
若干、こじつけ感はある。

1位:フォーレ「この世ではすべての魂が」 Puisqu'ici-bas toute âme

女声のデュエットは数多あれど、纏綿たるソプラノ同士の、男女の恋愛を描かないロマン派の楽曲でこれの右に出るものはないかと。

この分野は妄想力が大切なので探すのはけっこう苦労します。
実際に明示的にキャラ設定としてレズビアンが描かれるのは、アルバン・ベルクのオペラ「ルル」が音楽史上初じゃないかと思います(※)。1937年発表の曲ですがそこで描かれているレズビアンはある種、異常性愛者としてで、まだまだセクシャルマイノリティーへの配慮無しの時代だったりします。1937年でそれですから、そこを遡ってレズビアンの音楽を探すというのには妄想で補完するしか無いわけです。
妄想の入り込む余地が多い歌曲のジャンルでは恐らくもっといい感じの曲がたくさんあると思います。皆さんも探してみてください。

この曲はいいよ!と言うのがございましたら是非コメント下さい。

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メディア史からみる音楽史論

前回の論点を少し分解してみます。
音楽史をメディア史の方向から見てみると見えてくるものがあるかも?

< 声 - 楽器 - 宗教性 - 楽譜 - 劇 - 芸術性 - ラジオ - レコード - スピーカー - 音楽ランキング - アイドル - CD - MP3 - 握手券 - ヘッドホン - DAP - ハイレゾ - 定額聴き放題 >

ちょっと大雑把ですがこれらを一律に音楽メディアとして扱った場合、昨今のヘッドホン、イヤホンの高額化や、アマゾンの定額聴き放題の参入は音楽史的に何らかの方向へと向かう過渡期を示すものになるのではなかろうかと。
個人的な持ち物だった音楽が、社会のものとなり、再び個人のものに戻りつつあるのを感じます。特に定額聴き放題という音楽の再発見を促す聴取スタイルは、握手券やアニメソングなどのパッケージングされ、消費されるスタイルの音楽へのアンチテーゼのように思われます。

しかしながら今後、どのように音楽メディアが変わっていくのかはあまり予想がつかないので難しいですね。定額聴き放題が思いっきりズッコケる可能性も十分ありますし、オーディオも普通に衰退していくかもしれません。
最近、一時代を築いた人文学誌Inter Communicationの「音楽/メディア」という号を読み返しましたが、やっぱり8年前ともなると時代を感じました。




↑たったの81円! これは買い?

ブーレーズの死・SMAPの解散

作曲家としてのピエール・ブーレーズ(1925-2016)は、哲学者、社会学者のテオドール・アドルノ(1903-1969)も評価していました。
アドルノを読みふけっていたのはかなり前なのでどのように評していたかは全然覚えていないのですが、確か『美の理論』と言う本で、ベートーヴェンやストラヴィンスキー、シェーンベルクなどと同じ文脈の中に、ブーレーズのル・マルトー・サン・メートルのことが書いてあったと思います。
「美の理論」が書かれていたのは1960年代後半で、ブーレーズが生まれたのが1925年ですから40代ですでに音楽史に直結していたんですね。最近の作曲家にしては若くして大成しました。
ですが、今後アドルノが忘れ去られる事もありえるわけで、現にアドルノも分類される大陸哲学自体の地位がかなり終わってる感じなので、それを土台に活躍していたブーレーズもヤバくなってるわけです。
最近の音楽史の状況は、私は疎くて、スペクトル楽派がもう使い古されてしまって、再びロマン派回帰的な風潮になってる感じかなーとしか知りませんが、もうほとんどに歴史的・文化的文脈から外れちゃってるんじゃないかな、と思います。そして、その終止符としてブーレーズの死が来てしまったのかなと。

タイトルにSMAPの解散を入れたのは聖/俗の二項対立を表したのではなく、現代の音楽界では似たような重さの事柄になってしまったな、という意味合いですな。
この間、アマゾンプライムが定額聴き放題サービスに参入しましたが、その脈絡の中でこの事柄があるのか、あるいはこれを出発点としてまた新しい方向に音楽が行くのか、あるいは全く関係無いのかw、いろいろ気になるところです。





ドイツネタ

昨日、ヒトラーの画像を上げたので、今日はプフィッツナーの音楽でも紹介します。
というのもこの作曲家は、ヒトラーがドン引きするほどの純ドイツ主義者でして、東西ドイツ統一記念日に演奏された際にはユダヤ人団体からクレームが入るなど、曰くつきの人なのです。
ですが、音楽はロマン派最後期の、ブラームスの延長線上にあるような渋い音楽を作っております。
有名なCDですとティーレマンのデビューCDで、同時代のR.シュトラウスと一緒の管弦楽曲集なんかありますが、R.シュトラウスのように賑やかな音楽とは一線を画しております。

個人的ベスト3!

3位/ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲 作品43


2位/独唱と合唱、管弦楽、オルガンのためのロマン主義的カンタータ《ドイツ精神について》 作品28


1位/チェロ協奏曲 イ短調  作品52



CPOからボックスセットが出ていますが、どれも音楽的には買いです!


録音的には最善ではないかもしれません。80年代以前の録音のような雑音があったりというわけでもないのですが、いまいち精細さに欠く録音な気がします。なんだったらMP3で買ったほうが手っ取り早くて良いかもしれません。

最近の良い録音ですとHyperionのこちらが良いでしょう。演奏では上記のCPOの方が好きですけど。


あと、代表曲であるオペラの《パレストリーナ》もおすすめです。
《心》はいまいちかもしれません。同時代の指揮者クナッパーツブッシュが友人であるプフィッツナーに「この曲名は心じゃなくて腸にすべきだな!クソがいっぱい詰まってる!」なんて当たり散らしたとかいうエピソードがあったり。

シアターオルガン

シアターオルガンと言う楽器をご存知でしょうか。
アメリカの無声映画時代に伴奏として活躍した楽器です。
今日はそれを紹介しましょう、って言っても御託を並べるより聴いてどうかという問題なのでリンクだけ貼っときます。
YouTubeの埋め込みが多すぎてページが若干重くなってるので一つだけにしときます。
あとは、自分で調べて下さいw
アメリカンシアターオルガン協会のウェブラジオなんかあったりします。
この音楽は、貧弱なオーディオシステムの方が映えたります。私もメインシステムよりディスプレイ付属のスピーカーで聴いたりなんかしてます。

朝撮ったミニミニミニコンポVer1.02の写真も貼っときます。
IMGP3640.jpg
サイドパネルをちょっと整えてみてコンポっぽさを強調してみたんですがどうでしょうかね?
ちなみにインシュレーターっぽいのは一円玉ですw

プロフィール

あべ

Author:あべ
DDC:MUTEC MC3+USB
AMP:hypex FA253(x2)+hypex FA502(x2)
SP:RAAL 70-10DAM+VOLT VM527+VOLT BM165.1(x2) / Fostex T90A+Fostex H325+JBL LE85+JBL 2231A+JBL 2231H / Dayton audio ND16FA-6(x8)+Wavecor FR055WA02(x9)/
SW:Dayton Audio LS12-44(2ch)+morel UW1058(x2,mono)
CDP:TEAC PD-H600
HPA:nuforce iconHDP
HP:AKG K601
POWER:KOJO TECHNOLOGYAray MKII

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