2023/03/21
ダシーラ・アバー Mk.2
イスラエル軍の最終破壊兵器みたいな名前のダシーラ・アバーがついにツイーターを装備し、完成に至りました。ダイポール・ショートホーン・ラインアレイ/アンビエンス・バックロードホーン、その頭文字からDSHLA/ABH——ダシーラ・アバーと命名し、当初はダセーヨあべーの誤りではないかとすら言われましたが、完成したこの音を聴けば貴方もメシアの降臨を予感することでしょう。

トーンゾイレで画像検索すると、私と同じようにフルレンジユニットでチェレンジし、やはり高音が弱いようでツイーターを1つ加えてるような作例をよく見かけますが、その人たちには是非とも言いたい。
「ツイーターもゾイレにすべき!」
鳴り方が変わります。
おそらく多くの人は、思い切って大量に揃えたフルレンジのトーンゾイレに、さらに大量のツイーターを買って付け加える勇気がないのだと思います。私も最初の導入から実に4年経ちようやく踏み切ることができました。これまでトーンゾイレはヤマハ NS-1や1ペアのツイーターと併用して補助兵器のような使い方しかできていなく、撤廃まで考えておりましたが、まさに「毒くわば皿まで」と言う心境でツイーターを16個購入しました。(そんな高い品ではないですが)
ダシーラ・アバーのトーンゾイレ(ラインアレイ)部分は7連になってるのですが、これには二つウラがあります。フルレンジユニットは8Ωの物で、3個直列にしそれを3セット並列にして合成8Ωにしておりますので全部で(片側)9発あるのですが、パーツエクスプレスで購入したウェーブガイドが8個余っており、売っても元は取れないだろうと、流用することにし、9発のうち2発を直管のバックロードホーンにしました。

これはアンビエンススピーカーとしてラインアレイの裏に設置しております。
もう一つの理由としてはラインアレイにするバッフルの長さを、売っている木材の910mm(3尺)にすることで出費を抑えたかったと言うこともありました。90センチに9発並べると隙間が狭すぎて加工が面倒ですし、ギッシリ詰めることでラインアレイとしての性能が向上すると言うこともないと考えたからです。
なのでフルレンジとフルレンジの間には5cmほど隙間があり、ここに今回、直径3.2cmのツイーターを取り付けることができました。
最初に音を出したときの驚きは、今のメインの音を初めて出した時を超えており、ほとんど「今まで聴いたこともない音」と言って良いような凄さがありました。
特に自作スピーカーでは、最初に聴く楽曲がスピーカーのイメージを決定づけてしまうくらい重要だと思っているのですが、少し疲れていて適当に選んでしまいました。トーンゾイレといえばオーケストラ曲が合う感じですし、ブルックナーあたりにしようかなとか事前に考えておりましたが、選んだのはミニー・リパートンのパーフェクトエンジェルでした。
女声をここまで切なげに表現するスピーカーがこの世にあったのか。いや無い。(反語)
テクニカルな話、中高域のどこかの周波数がピンポイントで位相反転になり詰まった感じに聞こえ、声に独特の表情をつけていたのだと思います。背面開放による効果で間違いないでしょう。さらにツイーターとフルレンジのタイムアライメントがズレているせいなのか残響が長くなっているように聞こえます。しかもそれでいて解像度は普通に高い。DaytonのND16FA-6の性能のおかげでしょう。Daytonはガチでコスパが異常です。
コンサートで聴いているような音と言うのは想像しやすいと思うのですが、ダシーラ・アバーの場合、オレだけのためのコンサートでオレに想いを寄せながら歌ってくれてるの?ってな感じwです。
しかし、残念なことに、他のジャンルを聴くとバランスが崩れて聴こえてしまい、汎用性はありませんでしたw 仕方なく、オレのだけのため感を少しマイルドにして、オールジャンルで鳴らせるように調整しました。それでもこの音はなかなか無い素晴らしさで、ダシーラ・アバーは名誉挽回、撤廃の可能性は完全に無くなりました。
一つ苦労したのは、サブウーファーと合わせるクロスオーバーの設定が、DSPの制限でNS-1と共通にせざるを得ないと言う点で、NS-1も密閉とは言え下は60Hzまで鳴らせる一方で、ダシーラ・アバーは背面開放の5.5cmですので100Hzあたりからずるずる下がり、全く合いません。
これはダシーラ・アバー使用時にはサブウーファーの音量を上げる、と言う単純な方法でクリアしました。NS-1と合わせてるサブウーファーはタイムアライメントを合わせるために6dB/octで極めて緩く下がっているのですが、これが返って好都合で、緩いおかげで音量を上げまくればかなり高いところまで音が出て、100Hzで合わせることが可能になるのです。その際、設定上は低音が盛り上がる線になりますが、サブウーファー本体の箱が小さく、密閉なおかげで、最低域は削られ、比較的フラットな出音になると言う形です。
フルレンジユニットをつけたまま新しく穴を開けたら、木片がユニットの一つのボイスコイルの中に入りこんでしまったようで、バリバリとノイズを出して、やっちまったかと心停止しかけたんですが、指で押して何度もストロークさせたところ、ボイスコイルとマグネットの隙間から外れたようでなんとか治りましたw まだ木片はスピーカー内から取り出せてないので、再発の可能性はありますが……