2023/04/28
オーディオ映えする曲
7月に姉家族が日本に来そうな感じです。この散らかり放題の家にも何泊かするので、ぼちぼち掃除計画が進行中です。二人の甥はコロナ禍もあり、まともな日本滞在はほぼ初めてな感じなので日本へのイメージを良いものにするためにも、まずこの家を綺麗にしなければいけませんw
そうこう考えているうち、甥たちがこの部屋のオーディオシステムで音楽を聴いたとき、どう言う反応になるのかな、と言うことに想像が及びました。そして、その反応を良いものにするためには、どういう楽曲が良いのか、と。
オーディオをやっておられる方ならば、おそらく初めてオーディオの凄さを体験した時のことは心に残っておられるかと思います。
私が体験したのは20代半ばの頃、友人たちと秋葉原のダイナミックオーディオ5555に行ったときでした。目当ては一階のヘッドホンだったのですが、冷やかしで上の方の階に足を踏み入れたのです。何階かは覚えておりませんが、大型のシステムで、ウッドホーンと大径ダブルウーハーの、ウエストレイクかGTサウンドかJBL辺りのスピーカーでした。そこで爆音でジャズのドンパチ系の曲を聴いて、変な体勢で聴いていることに気づかず、終わった後に立ち上がれなくなるくらいの衝撃を覚えた思い出があります。
甥はまだ8歳と5歳で、上の子は時計が大好きで、柱時計とかに興味を持つ渋い感性の持ち主ですが、オーディオ機器でちょいと心を揺さぶったところで、オーディオええなあ、なんて感想を持つにはまだ早い年頃かと思います。せめて音楽の素晴らしさをより身近に感じ、家で聴くことに親しみを持ってほしいな、と言った感じで、私の思い出と同じように爆音で魂を吹き飛ばすようなことはできませんw
小さい子供にとって何が面白いかと言うと、やっぱりウ◯コやチ◯チンと言った概念で、これらはフロイトが肛門期やら男根期なんてタームを用いて解説しておりますが、私は大人と同じように文脈の逸脱から生じるものであると考えます。大人でも時と場合によってはウン◯やチンチ◯で噴き出すのに精神の構造的変化とか関係なくね?と言うのはフロイトが持て囃されていた時期でも思ってる人はいたでしょう。結局のところ、子供は知識や経験の幅が狭いために世界を認識する文脈が単純かつ単一的で、逸脱が端的な概念によって簡単に引き起こされてしまうのだと思います。
これが何を意味するかというと、子供はオーディオ機器で音を聞いても、音響機器だとかルームアコースティックだのと言った文脈は全然知りませんので、生の音や生演奏、映画館の大音量などと同じまな板の上で判断してしまうと言うことです。
では、その中でどのようにすれば子供たちに良い印象を与えられるのか。
以前、試聴会の合間の自由時間で、ちょっと頑迷そうなおじさまが、試聴盤を持って待っている人が何人もいるのにもかかわらず、特定のピアニストによる フランツ・リストなどのピアノソロ曲を通しで何曲も聴いてる様を見て、試聴に向いてる曲と試聴"会"に向いてる曲は違うな、と思ったことがあります。つまり、お店に一人で訪ねて、買う気があってチェックする時の音源と、周りが大勢いる中で機材の特性をみたい時の音源は、別で考えた方が良いのではないかと。やはり大勢いるのなら周りの人たちにも配慮した音源が好ましいでしょう。まあ、本気で買う気になっていて、この試聴会でしか聴くチャンスがないと言う場合はしょうがないと思いますが、割と試聴会後も使った機材は置いていたりするのでその時にチェックするか、試聴会の一番最後に回って聴くかでも良いでしょう。そのおじさまは結局4曲ほど通しで聴いて(ゆうに30分は超えておりました)、店員さんに止められたら憮然とした態度でスタスタと帰っていきました。ちなみに試聴会のメインの機材はその後、常設されてました。
どの機材がお目当てで、その後買ったかどうかも知りませんが、まあ、ちょっと恥ずかしい方だなぁと思い、そのときから試聴会に持っていく音源には少し気をつけようと心がけました。
それで試聴“会”向けの音源は何かと考えたら、まずは『みんなが知ってる音源』が良さそうですね。例えばアート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクションとかカンターテ・ドミノとか ホテルカリフォルニアとか、この辺ですと逆に試聴会の本編でかける曲と得られる情報が大して変わらない感じになっちゃいそうですのでもう一捻りあった方が良さそうですが、アルバム冒頭の曲でなく自分の好きなトラックとか、同時期の似た感じの曲とか良さそうです。上記はオーディオマニア向けのラインナップですが、テイクファイブや新世界よりや、カーペンターズと言った『音源自体はよく知らなくても、楽曲は知っていてメロディが追える音源』系も良さそうです。そもそも同じ音源でもリマスタリングとかしてると雰囲気が変わっちゃったりしてるので却って参考にならない場合もあり、ならばいっそ別の音源でみんなも入り込みやすいナンバーにして、分析しやすいようにしようと言う感じです。
『あんまり知られてないけど一発で良さが分かる曲』、これは試聴会でプレゼンターの方が選んでくる音源とコンセプトは一緒になるかと思います。クラシックなんかで難解な曲は何度も聴かないと良さはわからないので、いきなり聴かされても退屈になってしまいます。それに合わせて『編成が多彩で音色の多い音源』が良いですね。一発で良さがわかっても一本調子な曲はオーディオ的に参考になりません。
『長すぎない』。これは割と重要です。長いと自分でもけっこう困ったりします。横で他の人が聴いてたりしたら途中で切るのは悪いなあ、とか思ってしまいます。合わせて『序盤に聴かせどころがある』。これも重要になってきます。
まあそもそもみなさん、他人の試聴用の曲なんぞに興味ない、と言う方も多いかと思います。私なんかはけっこう何でも聴いてみる派なので気になってしまいます。他の人が聴いてる間、何もしないのも時間が勿体無いですし。
音楽の聴き方もありますね。これはホント人それぞれですので考え方にも差が生じてきます。上で書いたおじさまは、おそらく完全に音楽に入り込んで聴くタイプでしょう。わりと音にフォーカスしてないと雑音や生活音に聞こえると言う人は多い感じがします。私は全然集中しないタイプで、音楽自体には入り込まない方がオーディオの特性はわかりやすい気がしますが、その辺は脳の構造で分かれてくるのでしょう。
話を戻しますが、この話は子供にオーディオを聴かせる上でも応用できると思います。特性がわかりやすい曲というのは、やはりオーディオの良さが発揮できる曲という事ですから、ただ音楽を聴かせるだけではない、オーディオにしかできない音をこの部屋の中で体験してもらうことの大きな要素となります。
しかし、前述したよう生演奏や映画館の音と張り合うことになりますので、レンジの広さや大音量という面で、仮にうちの機器のレベルが相対的に高いのだとしても、超えることはなかなか難しいでしょう。では、何で戦うか。
生演奏や映画館と対峙した時のオーディオ機器の強みを挙げてみましょう。
1、スタジオ録音のライブとは違った音の正確さ精密さ
2、位相を利用した音響表現
3、録音ならではのノイズの味わい
4、機器のカッコ良さ
生演奏や映画館の欠点を考えると、会場の騒音や過剰な残響、セリフ、サウンドエフェクトなどに被さって音の解像度が低くなっているということがあります。クラシックで良い席で聴くとそれも解消してますが、甥たちはクラシックのコンサートは未体験のようです。1は効果的でしょう。
2も狙い目かもしれませんが、ホームシアター向けに編集された映像作品などで逆相を利用することもあるみたいなので、よくNetflixなんかで映画を観てる子供たちにはあんまり珍しいものではないかもしれません。それに逆相を利用した録音とかあまり多くないですし。
3、4は子供は興味ないですね。
あと、ライブ盤は1の条件をスポイルしてしまいますので却下。映画のような劇仕立ての曲も映画館のイメージに近づいてしまうので却下です。映画のサントラ曲なんかはその映画作品を映画館で見たことがなければ大丈夫なのかもしれませんが、子供の想像力みたいなのを考えると、音質が良くなってもあんまり衝撃はないのかも?
上で「端的な概念で簡単に引き起こされる」と書きましたが、これを音楽で考えると、音色によって興味を引き出せるのではないかと考えてます。つまり珍しい音色、例えばパイプオルガン、チェンバロ、ボーイソプラノのコーラス、リュート、バグパイプ、笙、ヴィブラフォン、ローズピアノなど、特有の雰囲気を持つ音が有効となるのではないでしょうか。
これらを踏まえ、試聴会向け音源の条件とも重ねて考えると、徐々に固まって来ます。複数の曲を聴かせると、子供は飽きるか逆に興味が高まりすぎて自分から聴きたい曲を言い出し、さらに相手に聴かせたい曲を言い出し、いつのまにか立場を逆転させてくる可能性があるので、1曲2曲に絞る必要があるかと思います。
まだ数ヶ月ありますのでじっくり考えようと思います。このブログは姉も見ている可能性があるので、対策?を施されないよう秘密裏に選定せねばなりません……
それよりも、もしかすると部屋にあるスピーカーをどう守るかの方が重要なのかもしれませんね。特にメインのミッドドームなんて、子供からするとシューティングゲームのパワーアップカプセルかボーナスポイントがもらえる敵にしか見えないでしょう。部屋に鍵を取り付けるのは必須で、サランネットも作らないといけないかもしれません。

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