2023/11/13
音場型の理想の一つ
DCアンプマニアさんのご紹介で、秋田市の某所にお住まいのオーディオ実験家K氏のお宅にご招待いただきました。その地域は北東北でも最も歴史ある土地の一つなのですが、一度失われ、菅江真澄なんかが伝説の地ってこの辺じゃね?と目星はつけていたものの、発掘が行われたのは20世紀に入ってからで、市の中心からは少し離れた小高い丘の上です。近くの沼には幻の巨大魚の噂があるとか無いとか……
氏は私より2回り弱ほど歳上の方で、オーディオ歴もそれ以上上なのに、本当に優しくして下さり終始和やかにお話できました。と言うか、今まで直接お会いしたオーディオファンの方で、人格的に問題がありそうな方って一人もなかった気がしますね。オフ会で嫌な思いをしたことが一度もないです。今回はその中でも特にお優しい方だった感じで、なんか学校の教頭先生を思わせる佇まいがありましたw (授業を受けもつ一般教師のように細かく物事を教えてくれるのではなく、大事なことだけを気づかせてくれるような感じ)
で、肝心のオーディオなんですが、なかなか衝撃的でした。正直、スピーカーを作る上での経験値の獲得量はこのあいだ行った東京インターナショナルオーディオショーよりよっぽど大きかったですね。
エンクロージャー無し、吊るした裸のローサー & 38cmウーハー+オンケンのホーンツイーター、サブウーファーと言う構成のスピーカーと、もともと居間だったと思しき天井の高い広いお部屋。これだけでどう言う風な音か、想像を付く方も中にはいるかもしれません。私もそれなりにスピーカーは自作して来ているので聴く直前まで、あーなるほど、こんな感じかなと予測がありました。いわゆる音場型で、下は出てないけど雰囲気はしっかり出せるタイプか、と。
いきなり話が変わります。最近はほぼ戻っているのですが、昔から私はよく不眠により睡眠の時間帯がズレて、周りが騒がしい時間帯にようやく寝はじめるときがあったりして、騒音に悩まされる事が多くありました。そこで騒音対策にPCで雨の音を流しているのですが、これが自然に低域から高域まで気になる騒音を雨音に埋もれさせる効果があり、ずっとそれに頼っていて、もはや騒音など無い状態でもこれなしには寝られない体になってしまっております。なるべく耳障りの良い雨音にするため、AVアンプでサラウンドで鳴らしたりしていたのですが、最終的に辿り着いた鳴らし方がユニットポン置き+サブウーファーでした。
ポン置きにすると、まず低域は無くなってしまうのですが、指向性がないことで部屋全体で響く感覚があります。反射により減衰しやすい最高域は刺々しさがなくなり、背面圧が無いことで振動板はよく動くので、優しいのに解像度があるという感じになります。以前にも、タンバンのW8 1808を↓このように半ポン置きで置いていたことがあったり、ポン置きではないのですが、今使ってるラインアレイは背面開放型で、そのサイドにも適当に背面を処理したユニットがついていて、低域もユニットが下向きだったり、音場型スピーカーの鳴り方には多少の心得がありました。

下のやつ
実際、聴いてみると、やはり下は薄めなものの雰囲気はしっかり出ています。しかし、それだけではありません。歌声が入ると特に顕著になる生々しさ、実在感があります。推測なのですが、これはK氏が自作された全段無帰還のDCアンプ、そしてバネで吊るすことで共振を完全に廃したバッフルすらない構造がなければ、ここまでの実在感は出ないかと思われます。背面にある板と、ホーンのスーパーツイーターの加減も重要かと思います。背面開放型における後ろにある板、壁の重要性は、私もラインアレイで経験していて、これは定位感を左右し、それに加えホーンの指向性のあるスーパーツイーターが加わって雰囲気と音像を両立させているのではないかと思います。
計測のマイクなども持って来ていたので少し計測してみたのですが、以前使っていたPCが調子悪く、急遽、親のPCを持って来ていたせいか、何か設定がおかしいみたいで、計測結果が若干定まらない状態でした。一応、測れてはいたのですが正確かどうかわからない、と言う感じ。また次の機会にもう少しちゃんと測りたいですね。
と言うか、写真を完全に撮り忘れてしまい、衝撃的なスピーカーの姿をブログに載せられないのが残念です。
代わりにうちの物置き兼寝室のポン置きスピーカーを載せときます。

K氏のお宅から帰る途で、私のラインアレイが目指す方向はコレだな、と言う結論を得ました。
ラインアレイは以前に比べるとだいぶ良い感じに鳴ってはいるものの、方向性を見失いつつあってまた聴く機会が減っておりました。家に帰ったあと、Kさんがリファレンスにしてらっしゃる美空ひばりの『悲しい酒』をDL購入し、聴いてみましたが、及第点に達しているのはメインだけな感じで、ラインアレイなんかは、美空ひばりが平たくなって壁一面に張り付いてるような音になってしまってますw 同じくリファレンスにしてらっしゃるブーレーズ指揮のストラヴィンスキーの火の鳥は、有名なシカゴSO盤ではなくNYP盤で、持っていなかった上DL販売もないので中古のCDをネット購入。もう一枚のリファレンス、シェリングのバッハの無伴奏Vn.ソナタとパルティータは持っていたので聴きました。この曲に関しては自分のシステムの方が好きですね。個人的にあらゆるジャンルが得意な万能のスピーカーは存在しないと思ってますので、やはり得意不得意が出ると思いますが、この曲はK氏のシステムで不得意ということはないです。ただ個人的にシェリングの外連味のないヴァイオリンにはモニターライクなうちの方があってると思ってるだけですね。
今回の訪問でまた課題ができました。まず、K氏がやられてるバネによるユニットの吊り下げ、これが最初でしょうか。スーパーツイーターに関しては、ラインアレイに入れるのは少しデメリットもありますので次ですね。
DCアンプマニアさん、そしてKさん、この度は貴重な体験をさせていただき本当にありがとうございました。
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