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S氏宅訪問

K氏にちょっとお渡しするものがあってお家を訪ねたら、話の流れで急遽、ご友人のS氏のお宅に伺うことになりましたw そんなわけで今回の記事も訪問記です。


こんなことを書くと、利いた風なことを言うなと言われるかもしれません。私はオーディオ歴わずか11年ですが、僭越ながら言うと低域には少し知見があります。そこからS氏のシステムを聴いて感じた事を述べます。

かなり低域がブーストされている。こう書くと多くの人は街を走ってるヤンキーの車の音みたいなのを想像されるかもしれません。あの手のやつはサブウーファーでパワーをガンガン入れているのでブーストと言うとしっくり来ます。イコライザーで低域を持ち上げるのもブーストされてるな、と考えると思います。こう書くとわかりやすいかもしれません。自然な方法を用いず、意図的に音域を持ち上げるのが通常言うブーストである、と。
S氏のシステムを聴いて、ブーストされていると言う感想を持つ人は少ないでしょう。あの音を聴いた多くの人は「こんな低音は聞いたことがない」と漏らすそうです。それは尤もであると思いました。なぜかと言うと、あの低音はあまりにも自然にブーストされているからです。不自然なブーストだったらおそらくみんな「低音が凄い(意味深)ですね〜」みたいな、なんか含んだ言い方になると思いますw
私が今まで聴いてきた低域が強いスピーカーの大半は、ピークやディップが発生していて、聴いてすぐにブーストされている、と感じました。意図的に上げてるんだな、と。しかしあのシステムは違います。「これが本来の音だったのか」と言う自然さで低域が押し寄せてくるんですね。

S氏は無論のこと、サブウーファーやイコライザーを使って低域を出しているわけではありません。

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(↑ターンテーブルの横などの吸音材は低音の影響を避けるためのもので、置きっぱなしになってるわけではないとの事w)

38cmウーハーを備えた4way、そして最大25W(だったかと)程度の自作アンプ、これらで極めて自然に低域を引き出しておられます。当人は30Hzの低音を出せてるとおっしゃっていましたが、普通に20Hz以下まで鳴ってると思います。
ウチのシステムも、マイクで検出できる5Hzまで線は伸びてるのでレンジ自体は出せてます。
なんたってDSPで音をいじり放題、5wayのアンプのパワーは1000W・500W・250W・250W・100W、タイミングもミリ単位で合わせられて、ユニットも最高級では無いけどそれなりに上級品です。しかしこれは、S氏がやっておられることに比べたらまるっきり裏ワザも裏ワザで、富士山にヘリで登頂するようなレベルです。裏技を使わず真っ当に鳴らすから、自然で、ブーストと言ってしまうには綺麗すぎる低域を出せてるんですね。(※そもそも私のはhypexのアンプの能力がなければできないことですので、私の功績ではなくオランダのhypex社員のおかげであり、もはやS氏のやっておられることと比べられるレベルではないでしょうw)

こういうと語弊が生じるかもしれませんが、レンジ自体は私のシステムに限らず、市販のサブウーファーでも出せます。市販のサブウーファーでも20Hzを出せるものは多数あります。しかしながら、市販のサブウーファーでは対応できない要素が3つあります。まず1つはフラットに鳴らすこと。2つ目は群遅延への対応。そして最後が制振です。
フラットに鳴らせないのは、基本的にサブウーファーのf特は台形ではなく山型だからなんですね。本題からかなりズレるのですが、このタイミングにちょっと解説させて下さい。
多くの人が想像しがちなのは、サブウーファーは最低域を鳴らせるサブウーファー専用ユニットが付いてて、それを使うと筐体が小さくても30Hzあたりから50Hzあたりまで平らに鳴らせて、上のスピーカーの最低周波数にクロスを合わせれば上手く低域を増強できるんだなるんだろうな、と言う感じだと思います。
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しかし実際は、こうです。
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サブウーファーユニットが最低域を鳴らせる能力は、同じ径の普通のウーファーユニットと大して変わらず、ただパワーを入れた時の耐久性があるだけなんです。
声楽に例えると、カウンターバスみたいなめっちゃ低い声を歌える歌手がいるわけではなくて、のどが頑丈なバスの歌手に、本来ちゃんと歌えないめっちゃ低い音だけの楽譜を与え、バシバシしばき倒して無理やり歌わせてる、と言う感じです。
サブウーファーの調整が難しいのはこの山型の特性によるものが大きく、上のスピーカーの最低音から少しでも離すとディップができ、ディップを埋めようとするとピークになる訳です。部屋の特性や高次倍音と重なってピークが20dBなんてことも多々あります。これを改善するには、クロスオーバーのスロープを工夫して上手いこと台形になるように調整したり、上の帯域にハイパスを入れたりする必要があるんですが、私は以前は2段構えでサブウーファーを入れることで山を二つにし、擬似的に台形にする手法を取っておりました。やはり音が濁るので今はスロープの調整に変えてます。

ただこれは、箱の容量を上げてやると話が変わってきます。箱を大きくすると、元から最低域を出せるようになるので、無理やり鳴らさせる必要がなくなります。そうなるともはや最低域のために帯域を分ける必要もなくなるので、サブウーファーは不要になります。
サブウーファーが普通のウーファーなら群遅延の問題も解決します。
群遅延はクロスの周波数が低いほど、スロープを急峻にするほど倍々ゲームで大きくなるもので、酷いと20mくらい遠くにサブウーファーが置いてあるような遅さで鳴ってしまうと言う、サブウーファーの最大の致命的な弱点です。これは波長の長さに関係してますので30Hzを48dB/octなんかでハイカットすると7mぶん程遅れてしまいますが、50Hz、80Hz、24dB/oct、12dB/octと緩くしていくとみるみるうちになくなり、100Hz 12dB/octでは80cmほど、普通のウーハーがハイカットするような500Hzでは20cm程度になります。(※群遅延はいくつかの要因が重なって起きてますのでスピーカーの性能にも寄ります。数値は参考程度でお考えください。)
20cm程度ですと位相が合っていれば全くわかりません。と言うか5m、10mでも普通に誰も気づきません。それどころか遅い方が暴力性が増すと感じる人も多いので、ホームシアター用途なんかでは敢えて遅延を直す必要もないです。
遅延を直す方法は、物理的に振動板位置を合わせるか、デジタルで上のスピーカーにディレイを入れてやるしかありません。ディレイを入れるのは現状DSPしか方法はありませんので、ピュアオーディオではアキュフェーズのチャンデバや、DEQXあたりでやったり、ピュア感は薄まりますがスタジオ機材、カーオーディオ機材を使ったりします。ウチのはスタジオ機材になります。最近のDSPはコアとなる部分がDACチップも兼ねているので、DA変換と同時に処理し、信号の劣化は少ないようです。

話を戻します。市販のサブウーファーで対応できない面の3つ目としてあげられる制振です。これは市販のサブウーファーでは重量や板厚の面で制振が不足し、歪みが大きくなってしまうと言う話もあるんですが、本当に大事になってくるのは部屋の制振ですね。サブウーファー自体の制振もきちんとしていると部屋の影響も下げられると言うこともありますが、20Hz、30Hzと言う音を出すと付帯音として20Hz以下も出てきて、部屋の窓ガラスから壁からちょっとした金具から、あらゆるものが共振しだします。こうなってくるとサブウーファーをどうこうしたところで意味がありません。ウチはこれが少しあります。サブウーファー自体は背面対向で一応短くですがワイヤーで吊るしていてそこそこ制振できてますが、やはり壁やラック類です。ウチであの低域の音圧で鳴らすとビリついてしまい、どうしようもないです。
S氏の部屋の写真を見ていただくと、壁は吸音材を全面に貼っておられます。これは中〜高域の反射を抑え、大音量で飽和するを防ぐ働きも大きいですが、壁のビリ付きから生じる音を低減し低域のクリアさに寄与している効果も大きいでしょう。さらにエンクロージャー自体にも(秘密の)工夫が凝らされてます。

3つ、市販のサブウーファーの難点を挙げましたが、これは実はどんなスピーカーでも最低域を鳴らそうとするとやはり問題となる部分であり、高級なスピーカーを使っても簡単には上手く鳴らせるものではありません。大型にしたところで簡単には低域をフラットには鳴らせませんし、遅延を解消しただけではスピード感は出せませんし、頑丈にしたところで歪みを無くすことはできません。
それをS氏は全て自らやってのけています。同じ低音ファンとしては素直に脱帽です。
先に述べた、多くの人が「こんな低音は聴いたことがない」と感想を述べたと言う話ですが、私は敢えてそうは言いません。聞こえは悪いかもしれませんが「ここまで自然にブーストされている低音は聴いたことがない」と言うのが私にとって適切と考えます。が、それは低音をやってる人間ほど、どんなに凄いのか理解できることで、S氏にはこれを最高の賛辞であると受け止めていただきたいです。

⭐︎ちなみに感想がスピーカー中心になっちゃってますが、おそらく本当にすごいのはアンプ部分なのだと思います。私はその辺が全く疎いので何も言及できずw すみません!orz

私は他の方のシステムを聴くと、ウチでも再現できないか試すのですが、今回はまず制振を頑張らないといけないのでなかなか長い戦いになりそうです。
と言うか最近、他の方のシステムを聴きまくってるので、やるべきことが山積してますw
K氏にはこんなに機会をいただいてホント感謝しかないです。
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