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自作スピーカー製作記

特に独自の技術とか入れたわけでもないし、むしろこれからやるDSPでの調整の方が本筋なので、あんまり読んでも目新しいものはないかも知れませんが書きます。

まず、今回作ったLS1/5/2Aについての簡単な解説ですが、BBCモニタースピーカーの意匠を取り込んだ3way4スピーカーのトールボーイです。1/5/2は横/縦/奥行きのサイズ比で、大体20cm/100cm/40cm。容量は約50リットル。ツイーターはアルミリボン、5cmミッドドーム、16cmポリ系コーンのダブルウーハーのバスレフ方式です。これをアクティブモニター用のDSP付き3wayアンプでドライブします。

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※床などが汚いと言う点につきましてはお目溢しいただきますようお願い申し上げます。


おすすめとして提示できるのは見た目のデザインのことですね。
前回の記事のコメント欄(PHILE-WEBコミュニティの投稿)でも書きましたが、デザインには規範や権威と言ったものが備わっていないと、ただ奇異な物にしか映りません。直感的に良いなと思うものも、必ず前身となる評価された似たモデルがあったり、有名デザイナーが描いたと言ったハクが付いていたりして、全く類のないようなものが背景もわからない状態であっても人はいいものだとは思いません。名も無きアマチュアがスピーカー理論に基づいてデザインを導き出しても、結局そのスピーカー理論をよく知っている人にしか有機的な必然性を見出せなく、わかりやすい「アマチュアの自作」と言う印象が強くなります。それは広く周囲に認められれば、やがて権威(ブランド)となって、素晴らしいデザインとして成り立つ事もありますがなかなか難しく、やはり簡単なのは元々ある規範、権威に縋り付く事ですね。シンプルでクラシカルなデザインにするという事です。

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今回の私の自作スピーカーはそれを意識しました。
特に実践したいスピーカー技術というのもないのでデザインを優先し、BBCモニターと言う権威、そして木目と言う規範?を守って作りました。
クラシカルにすると作りやすくなると言うメリットもあって、昔の加工技術は今より高くないのであまり複雑でなく、私のような素人でも現代の道具で時間をかければなんとか作れるワケです。
デメリットはやはり新しいスピーカー理論を取り入れられない事ですが、例えばタイムアライメントなんかですとDSPでディレイを入れれば調整できますし、剛性でしたら外だけ板厚を薄く見せて中はゴテゴテに補強するとか、ある程度は補正できます。
BBCモニターは9mm厚の板が標準的なようで、さすがにそれは薄すぎるので今回、枠となる部分は11mmにして、中に12mmの板を重ねて、さらに金属製のL字アングル(スチールラック用)で補強も入れました。↓

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外枠が11mmと中途半端な板厚なのは、重要である木目を見せるのにリアルプリントと言う、木目の綺麗な5.5mm厚のベニヤを使い、5.5mm厚のMDF板に重ねたのが理由です。普通に突き板(木のシート)を貼っても良かったのですが、結構高いし、難しそうで失敗したらショックが大きそうなので、近所のホムセンで売ってるリアルプリントを使いました。このリアルプリントと言う板は通常のプリント合板よりも木目が美しく、コーティングもしていないので、切り口の面との質感を合わせやすいのが利点です。切り口の面は無垢材でない限り、突き板や木目テープを貼るしかないのですが、最初からコーティングしてあるプリント合板ですと、意外と質感の違いが目立ってしまいます。
リアルプリントは厚みがあるので、角は切り口が見えないように45度角をベルトクランプで合わせるしか無い難点があり、やる前は45度でちゃんと切れば良いだけだろ?とタカを括っていたのですが、やってみたら接着部の隙間が結構目立ってしまい困りました。これは突き板テープを1mmくらいの細さに切って隙間に入れたところ、なんとか近くで見ないとわからないレベルまで目立たなくできました。

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↑実は突き板テープと木目の方向が違うのですが細いのでわかりません。

塗装は、私が一方的に師としているkenbeさんオススメのオスモカラーのノーマルクリアを塗りました。私は待つのが苦手なので塗装が嫌いで嫌いで、憎しみすらあるのですが、今回ばかりは美しく仕上げたいので頼らざるを得ませんでした。(塗装する事は嫌いだけど塗装された物は好き)
オスモカラーは少しお高いですが初心者でも比較的塗りやすい塗料で、なかなか綺麗に仕上がったかと思います。市販のコテバケを使いました。

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よく見るとこんな感じで凹凸が見えます。まあ敵である塗料を、反塗装思想を持つ私がここまで手懐けたのは上出来でしょうw


一番難しかったのはバッフル面で、丸い加工は自在錐で綺麗に出来るのですが、ツイーターと、ウーハーの四角い加工が難点で、当初、ジグソーを治具に当てて正確に切る予定でしたが安物のジグソーだったせいか治具に当てても曲がることが判明し、仕方なくトリマーを買ってなんとか仕上げました。トリマーは数年前に大館の自作ファンのkaneyaさん宅に行った時、角の処理も簡単になる、と勧めていただいてたのですが、ずっとその機能を舐めていて今まで買わずにいました。今回その有用さに気付かされ、もっと早く買っていればと後悔しました。みなさんにもオススメしますw
トリマーがあっても、私はミスをして切り過ぎたりします。ここで話が戻ってくるのですが、デザインをクラシカルにしたのが功を奏します。BBCモニター風の黒いlバッフル面にしたおかげで、パテで切り過ぎたところを埋めて修正できるワケですね。黒ならパテの修正痕もほとんど目立ちません。まあ、バッフル面が木目のBBCモニターもあるのでクラシカルだからと言うワケでもないんですが、何を言いたいかと言うと、自分の能力に合わせて作りやすいデザインに落とし込む事も大事、ということですw

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よく見るとパテで治してます。LS3/5A風マジックテープが貼ったあとに伸びてヨレヨレになってます。これはいずれ貼り直そうかと思ってます。
開口が四角い理由はLS5/1の機構を取り入れた物で、壁に当たる影響が強い中低音の横方向への拡がりを弱める効果を狙いました。

バッフル面と側面を合わせる段階になって、補強に入れたL字アングルがミッドドームのマグネットと干渉することがわかり、L字アングルをグラインダーで削りました。グラインダーは父が釣り道具か何かを加工する際に使ってるみたいなんですが、よくぞ持っててくれたと言う感じでしたね。なかったら補強を諦めてたところでした。グラインダーはそんな高い物でもありませんがなんとなく。


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このように補強が入ってます。青が金属製、黄色は木製です。
ウーハーマグネット裏は金属板とハードロックナットで固定。補強板は無論のこと、板の貼り合わせにもネジを無数に使ってますので、アコースティックな木の響きみたいなのは完全にスポイルしちゃってます。

裏面は普段目につきませんので、こんな感じでテキトーにやってます。
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説明もテキトーでいいでしょう。ホントはそのL字アングル、中に貼るつもりでしたけどなんか干渉したんで外に貼ってます。はい。

見えない所はテキトーで良いやと言う思想は、アメリカで姉の家の改装を手伝った時に学んだ?もので、あっちの家の作り方はDIYが多いこともあって「テキトーに板や部材を合わせて、モールディングで繋ぎ目を隠してはい終了」と言うやり方が多く使われており、モールディング自体にも装飾が施されているおかげでいい感じに見えるのですが、日本とは違う合理性があり、なかなか興味深かったです。アメリカ人の気質もありますが、アメリカは土地が広くホームセンターが馬鹿デカく、さまざまなモールディングの在庫も置けるしDIYも一般的、と言う地政学的?な理由もあったりして、ひとえに「大雑把なだけ」と馬鹿にできない背景があります。(モールディング自体は昔のヨーロッパ建築からあるので、因果関係としては繋がってないのですが、そのせいもあって特にそうなんじゃないかな、と言うレベルの考察)

自作スピーカーも、あまり型にとらわれず、環境に合わせて自分なりのやり方で適切にリソース配分をすれば、いい感じのものが簡単にできるんじゃないかなと思ってます。たまに「自作は工作が好きな人がやる別の趣味だ」なんて言う人がいますがそんな事はないです。オーディオが好きなら誰でもできますので。


今回、シンプルなバスレフ方式にしてますが、VOLTのユニットはPMCがしつこいくらいに導入しているトランスミッションライン方式(共鳴管を吸音材でコントロールする方式)に対応したスペックになっていて、その導入や、あるいはおそらく適するであろうkenbeさんの石田式BHBSの導入もちょっと考えました。が、このLS1/5/2AをドライブするhypexのFA253の下に、それと完全にシンクロするFA502と言うアンプを入れてますので、わざわざ複雑な機構にして低音を伸ばす理由がなく、これまで通りFA502によるサブ(ステレオ)とサブサブ(モノラル)に低音は任せることにしました。まあ、普通のバスレフでもこのVOLTのウーハーは性能が良く、36Hzまで出るので全く遜色ない感じです。なんなら密閉でも良かったのですが、隙間が無いように作る自信がなかったのでw

音質に関しては、まだ調整中なのでまだまだ良くなると思いますが、まず中〜高域がKEF Reference1のときと比べ圧倒的にクリアになったのが解ります。以前から思っていましたが、同軸ユニットはタイムアライメントが合っていないせいか、位相特性はさほど良くない感じがします。ずっと横の壁が近いせいで反射してくる成分が悪くしてるのかな、と思ってましたが指向性が広いはずのミッドドームの方がカッチリ合ってる感じです。そんなに私は耳も良くもないですので、単にf特の面で耳に感じやすい音が強調されているからそのように感じてるだけって事かもしれませんがw 高域に関してはReference1ではスーパーツイーターを加えていたせいでわかりやすく位相特性を悪くしていて、音場が十分に広がってない感じがありましたが、LS1/5/2Aは精緻な立体感を出します。低域は、重厚感ではReference1と同等でありながら芯の鋭いアタックがより出るようになりました。ウーハーとミッドのクロス付近の500Hzのディップが埋められなく、ここはまだ要調整です。おそらく部屋由来。
心配していた板などのビビりや補強用のL字アングルの共鳴などは全くなく安心しました。
Reference1はリファレンス(参照)用としてすぐ出せる所しまっておくことにしてますが、この分ですと早めに手放す方向に行くかもしれません。


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作業風景(すごく汚い)
客間を母は生花工房として、私はスピーカー工場として使い、父は途方に暮れてます。


★追記
KEFのReferenceシリーズがまさに今日、アップデートを発表しましたね。
こうなるとリセールバリューも下がりますし、手放しにくくなりますw ちゃんと鳴らし切る前に売るな!と言う指令と思っておきたいです。
いずれ、ちゃんと場所ができたら、以前よりも良い音で鳴らしたいと思います!

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あべ

Author:あべ
DDC:MUTEC MC3+USB
AMP:hypex FA253(x2)+hypex FA502(x2)
SP:RAAL 70-10DAM+VOLT VM527+VOLT BM165.1(x2) / Fostex T90A+Fostex H325+JBL LE85+JBL 2231A+JBL 2231H / Dayton audio ND16FA-6(x8)+Wavecor FR055WA02(x9)/
SW:Dayton Audio LS12-44(2ch)+morel UW1058(x2,mono)
CDP:TEAC PD-H600
HPA:nuforce iconHDP
HP:AKG K601
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